インドネシア政府は、2027年の祝日(Libur Nasional)と政府指定の有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama)の日程を発表しました。2027年は、祝日18日、有給休暇取得奨励日8日が設定されています。インドネシアで事業を運営する日系企業にとって、祝日カレンダーは単なる休日の一覧ではありません。従業員の勤務スケジュール、工場の稼働計画、店舗の人員配置、給与計算、残業代、年間の休暇取得計画など、さまざまな業務に関係します。
特にインドネシアでは、日本と異なり、政府が定める祝日と有給休暇取得奨励日の取り扱いに違いがあります。この違いを理解せずに勤務スケジュールや給与計算を行うと、従業員との認識の相違や、勤怠管理・給与計算のミスにつながる可能性があります。
本記事では、2027年のインドネシアの祝日・有給休暇取得奨励日一覧と、日系企業が押さえておくべき休暇管理のポイント、年間の休暇計画を進める6つのポイントを解説します。
2027年のインドネシアの祝日・有給休暇取得奨励日は何日?
インドネシア政府は、2026年9月15日付の3大臣共同決定(SKB 3 Menteri)により、2027年の祝日と有給休暇取得奨励日を定めました。対象となる共同決定は、以下の3つです。
- 宗教大臣決定:2026年第1205号
- 労働大臣決定:2026年第3号
- 国家機構強化・官僚改革大臣決定:2026年第2号
この共同決定では、2027年について以下の日数が設定されています。
| 区分 | 日数 |
|---|---|
| 祝日(Libur Nasional) | 18日 |
| 有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama) | 8日 |
ただし、祝日と有給休暇取得奨励日では、民間企業における法的な取り扱いが異なります。まず、この違いを理解しておくことが重要です。
インドネシアの祝日と有給休暇取得奨励日の違い
祝日(Libur Nasional)とは?
祝日(Libur Nasional)は、インドネシア政府が定める公的な休日です。原則として、従業員は祝日に勤務する義務を負いません。ただし、製造業、ホテル、飲食、小売、物流、医療など、事業の性質によっては祝日も稼働する企業があります。その場合、会社は適用される労働法令に従い、祝日勤務に対する残業代などを適切に処理する必要があります。例えば、工場が祝日に稼働する場合には、
- 祝日勤務の対象者
- 勤務時間
- 勤務シフト
- 残業代の計算
- 勤怠記録
などを事前に確認しておくことが重要です。祝日に勤務した場合の給与計算は、通常の勤務日とは異なるため注意が必要です。
有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama)とは?
有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama)は、インドネシア政府が祝日とあわせて設定する、年次有給休暇の取得を促すための日です。民間企業における有給休暇取得奨励日の実施については、2027年の3大臣共同決定により、各企業の経営者が定めることとされています。そのため、すべての民間企業が一律に休業するわけではなく、各企業の就業規則や労働協約などに基づいて運用されます。そのため、政府が有給休暇取得奨励日を設定したからといって、すべての民間企業が必ず休業するわけではありません。例えば、
- A社:有給休暇取得奨励日を会社の休業日とする
- B社:有給休暇取得奨励日も通常どおり営業する
- C社:一部の部署のみ休業する
といった運用が考えられます。有給休暇取得奨励日に休暇を取得した場合、原則として年次有給休暇の残日数から控除されます。ただし、実際の取り扱いは適用法令や各企業の就業規則、労働協約などに基づきます。一方、有給休暇取得奨励日に通常勤務した従業員については、その日が法定祝日ではない限り、有給休暇取得奨励日であることだけを理由に祝日勤務の残業代が発生するわけではありません。
実際に、Peoplyeeが支援する日系企業では、製造業・物流業・建設業では通常どおり営業するケースが多い一方、商社・サービス業・IT企業では休業日としているケースが多く見られます。このように、有給休暇取得奨励日の運用は業種や企業によって異なります。そのため、日系企業では、有給休暇取得奨励日を会社の休日とするのか、通常営業するのか、年次有給休暇から控除するのかを事前に明確にし、従業員へ周知することが重要です。
【2027年】インドネシアの祝日一覧
2027年のインドネシアの祝日は以下のとおりです。
| 日付 | 曜日 | 祝日 |
|---|---|---|
| 1月1日 | 金 | 元日(Tahun Baru Masehi) |
| 1月5日 | 火 | ムハンマド昇天祭(Isra Mikraj) |
| 2月6日 | 土 | 春節(Imlek) |
| 3月8日 | 月 | ニュピ(バリ・ヒンドゥー教の新年) |
| 3月10日 | 水 | イスラム教の断食明け大祭(Idulfitri/イドゥルフィトリ、通称レバラン) |
| 3月11日 | 木 | イスラム教の断食明け大祭(Idulfitri/イドゥルフィトリ、通称レバラン) |
| 3月26日 | 金 | キリスト受難日 |
| 3月28日 | 日 | イースター |
| 5月1日 | 土 | メーデー |
| 5月6日 | 木 | キリスト昇天祭 |
| 5月17日 | 月 | 犠牲祭(Idul Adha) |
| 5月20日 | 木 | ワイサック(仏教大祭) |
| 6月1日 | 火 | パンチャシラの日 |
| 6月6日 | 日 | イスラム暦新年 |
| 8月15日 | 日 | ムハンマド生誕祭 |
| 8月17日 | 火 | インドネシア独立記念日 |
| 12月25日 | 土 | クリスマス |
| 12月26日 | 日 | ムハンマド昇天祭(Isra Mikraj) |
※イスラム暦に基づく祝日については、政府の正式な発表やその後の変更情報を確認してください。
※2027年は、イスラム暦と西暦の関係により、ムハンマド昇天祭(Isra Mikraj)が1月5日と12月26日の2回設定されています。
【2027年】インドネシアの有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama)一覧
2027年の有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama)は、以下の8日間です。
| 日付 | 曜日 | 対象 |
|---|---|---|
| 2月5日 | 金 | 春節 |
| 3月9日 | 火 | 断食明け大祭(Idulfitri/イドゥルフィトリ、通称レバラン) |
| 3月12日 | 金 | 断食明け大祭(Idulfitri/イドゥルフィトリ、通称レバラン) |
| 3月15日 | 月 | 断食明け大祭(Idulfitri/イドゥルフィトリ、通称レバラン) |
| 3月25日 | 木 | キリスト受難日 |
| 5月18日 | 火 | 犠牲祭(Idul Adha) |
| 5月19日 | 水 | ワイサック |
| 12月24日 | 金 | クリスマス |
特に注意したいのが、3月の断食明け大祭(Idulfitri/イドゥルフィトリ、通称レバラン)です。2027年は3月10日・11日の祝日に加え、3月9日・12日・15日に有給休暇取得奨励日が設定されています。そのため、会社の休日設定によっては、長期間にわたって従業員が休暇を取得する可能性があります。製造業や物流業などでは、生産計画、出荷スケジュール、取引先への納期などを早い段階から調整することが重要です。
2027年の祝日カレンダーで日系企業が注意すべき3つのポイント
1. レバラン期間の人員配置と事業計画
インドネシアで特に注意が必要なのが、レバランです。この時期は、多くの従業員が帰省(Mudik)するため、休暇希望が集中する傾向があります。特に、
- 工場
- 物流
- 小売
- 飲食
- ホテル
- サービス業
などでは、事前の人員配置が重要になります。日系企業では、日本人管理者と現地従業員の間で休暇に対する認識が異なる場合もあります。そのため、直前になって休暇申請を調整するのではなく、数か月前から各部署の休暇希望を把握することが望ましいでしょう。
2. 祝日勤務の残業代計算
インドネシアでは、祝日に勤務した場合、通常勤務日とは異なる残業代の計算が必要になる場合があります。例えば、週5日勤務か週6日勤務かによっても、法定休日・祝日勤務の残業代計算方法は異なります。また、勤務時間や適用される賃金基準なども確認する必要があります。そのため、HRやFinanceは、
勤務日の確認 → 祝日・通常勤務日の判定 → 勤務時間の確認 → 残業時間の確認 → 残業代の計算 → 給与への反映
という流れを正確に管理することが重要です。特にExcelで勤怠管理を行っている企業では、祝日設定の誤りが給与計算に影響する可能性があります。
3. 有給休暇取得奨励日の取り扱いを明確にする
有給休暇取得奨励日については、会社の方針を明確にする必要があります。例えば、
- 会社として休業するのか
- 通常営業するのか
- 年次有給休暇から控除するのか
- 部署ごとに異なる運用を認めるのか
- 申請や承認をどのように行うのか
などです。特に日系企業では、日本人管理者が有給休暇取得奨励日を日本の祝日と同じように理解しているケースもあります。しかし、両者は異なる制度です。そのため、従業員に対して会社のルールを事前に説明しておくことが重要です。
2027年の年間休暇計画を進める6つの方法
祝日カレンダーが発表された段階で、HRや各部門のマネージャーは年間の休暇計画を検討できます。ここでは、インドネシアの日系企業が取り組むべき6つの方法を紹介します。
1. 祝日・有給休暇取得奨励日カレンダーを早めに共有する
まず、2027年の祝日と有給休暇取得奨励日の一覧を従業員へ共有します。その際、単にカレンダーを配布するだけではなく、会社の休暇ルールもあわせて説明することが重要です。例えば、
- 年次有給休暇の日数
- 休暇申請の方法
- 申請期限
- 承認者
- 有給休暇取得奨励日の取り扱い
- 未消化休暇の繰り越しルール
- 部署ごとの休暇取得ルール
などです。特に複数拠点を持つ企業では、拠点ごとに異なる説明が行われないよう注意が必要です。
2. 年次有給休暇を計画的に取得できるようにする
インドネシアでは、原則として12か月継続勤務した従業員に対し、最低12労働日の年次有給休暇を付与することが定められています。ただし、実際の取得方法については、適用される法令、雇用契約、就業規則、労働協約などを確認する必要があります。HRやマネージャーは、従業員が年末にまとめて休暇を申請するのではなく、年間を通じて計画的に取得できるよう支援することが重要です。例えば、
「繁忙期が終わった後に休暇を取得する」
「部署内で休暇取得時期を分散する」
「年間の業務計画に休暇予定を組み込む」
といった方法が考えられます。重要なのは、会社が一方的に休暇取得を制限することではありません。従業員の休暇取得の権利と、会社の事業運営を両立させることです。
3. 休暇データを分析し、取得時期の偏りを把握する
休暇管理では、単に残日数を把握するだけでは十分ではありません。例えば、
- 特定の月に休暇申請が集中している
- 特定の部署で休暇取得率が低い
- 直前の休暇申請が多い
- 一部の従業員に未消化休暇が集中している
といった傾向を確認することも重要です。これらのデータを分析することで、各部署の人員配置や年間の業務計画を見直すことができます。また、従業員の休暇取得状況を定期的に確認することは、従業員の働き方や業務負担を把握するうえでも役立ちます。
4. 休暇前の引き継ぎを徹底する
従業員が休暇を取得しにくい理由の一つに、「自分が休むと仕事が止まってしまう」という問題があります。特に、特定の従業員だけが担当している業務が多い場合、休暇中にも連絡が必要になることがあります。このような問題を減らすために、休暇前の引き継ぎを仕組み化することが重要です。例えば、
休暇前に共有する情報
- 進行中の業務
- 対応期限
- 休暇中に対応が必要な事項
- 引き継ぎ担当者
- 必要な資料・データの保管場所
- 取引先や社内関係者への連絡事項
などです。引き継ぎを明確にすることで、従業員が安心して休暇を取得できる環境を整えやすくなります。
5. 事業運営に必要な人員を確保する
休暇計画では、従業員の希望だけでなく、会社の事業運営も考慮する必要があります。例えば、小売業やホテル業では、祝日や大型連休が繁忙期になる場合があります。一方、製造業では、レバラン期間に生産を停止したり、稼働を縮小したりする企業もあります。そのため、業種や事業内容に応じて、
- 最低限必要な勤務人数
- 各部署の休暇希望
- 繁忙期・閑散期
- 生産・販売計画
- 代替要員の確保
などを確認することが重要です。休暇計画はHRだけで決めるものではありません。各部門のマネージャーと連携し、事業計画とあわせて検討する必要があります。
6. 人事管理システムを活用して休暇を管理する
従業員数や拠点数が増えると、Excelや紙による休暇管理が複雑になることがあります。例えば、
「誰がいつ休暇を取得するのか」
「休暇残日数はいくつあるのか」
「申請は承認されているのか」
「同じ部署で休暇が重複していないか」
といった情報を、複数のExcelで確認している場合です。人事管理システムを活用すれば、
- 休暇申請
- 上司による承認
- 休暇残日数
- 休暇取得履歴
- 従業員の休暇予定
- 部署別の休暇状況
などを一元管理できます。これにより、HRやマネージャーは休暇状況を把握しやすくなり、年間の人員配置計画にも活用できます。
Peoplyee HRIS Insight|休暇管理は「休暇残日数の管理」だけではない
インドネシアの日系企業では、休暇管理というと、
「従業員が何日休暇を取得したか」
「あと何日休暇が残っているか」
という管理に注目しがちです。しかし、Peoplyeeでは、休暇管理は単なる残日数の管理ではないと考えています。重要なのは、従業員の休暇取得状況を把握し、会社の事業運営と両立させることです。例えば、ある部署で複数の従業員が同じ時期に休暇を取得すれば、業務に影響する可能性があります。一方、休暇取得が進んでいない部署があれば、業務の属人化や人員配置に問題がないか確認するきっかけにもなります。そのため、HRには、休暇申請を受け付ける→上司が承認する→休暇残日数を更新するという事務作業だけではなく、休暇データを把握する→部署ごとの取得状況を確認する→人員配置や業務計画を見直すという役割も求められます。人事管理システムの価値は、休暇申請や承認を効率化することだけではありません。人事データを活用し、より適切な人員配置や組織運営につなげることにもあります。
インドネシアの年次有給休暇は何日?
インドネシアの年次有給休暇については、労働法の第79条などに規定があります。原則として、12か月継続勤務した従業員には、最低12労働日の年次有給休暇が認められます。ただし、会社によっては、法定基準を上回る休暇制度を設けている場合もあります。また、休暇の申請方法や取得時期などは、雇用契約、就業規則、労働協約などに基づいて運用されます。そのため、日系企業では、
- 法律で定められた最低基準
- 会社の就業規則
- 雇用契約・労働協約
を確認し、従業員へ分かりやすく説明することが重要です。特に有給休暇取得奨励日を年次有給休暇から控除する場合には、その取り扱いについて事前に周知しておく必要があります。
まとめ|2027年の祝日カレンダーを年間の人員配置・休暇計画に活用する
2027年のインドネシアでは、祝日18日、有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama)8日が設定されています。日系企業にとって重要なのは、祝日の日程を確認するだけではありません。祝日と有給休暇取得奨励日の違いを理解し、年間の休暇取得計画、勤務シフト、給与計算、人員配置に反映することです。特に、
- 祝日・有給休暇取得奨励日の取り扱いを明確にする
- 年間の休暇計画を早めに共有する
- レバラン期間の人員配置を検討する
- 祝日勤務の残業代を正確に計算する
- 休暇取得状況を定期的に確認する
- 人事管理システムで休暇データを一元管理する
という6つのポイントが重要です。休暇管理は、従業員の権利を守るためだけではありません。会社の事業運営を安定させ、従業員が安心して休暇を取得できる環境をつくることにもつながります。
Peoplyeeの人事管理システム(Peoplyee HRIS)では、従業員情報、勤怠、休暇、残業、給与計算(Payroll)など、インドネシア企業の人事管理に必要な業務を一つのシステムで管理できます。2027年の祝日・有給休暇取得奨励日に向けて、休暇管理や勤怠管理を見直したい企業は、Peoplyee HRISの無料デモ・無料トライアルをご活用ください。




