「従業員が何人になったら、人事管理システムを導入すべきですか?」
インドネシアで事業を拡大する中で、このような疑問を持つ企業も多いのではないでしょうか。従業員数が少ないうちは、Excelを使って従業員情報や勤怠、給与計算などを管理することもできます。しかし、会社が成長し、
- 従業員数が増える
- 拠点が増える
- シフト勤務が増える
- 残業が増える
- 給与体系が複雑になる
- 休暇・残業などの申請が増える
と、人事担当者が扱うデータや業務も複雑になります。その結果、
「毎月の給与計算に何日もかかっている」
「どのExcelが最新版なのか分からない」
「勤怠データを毎月手作業で修正している」
「従業員から給与明細や休暇について同じ問い合わせが繰り返される」
といった問題が発生するようになります。これはExcelそのものに問題があるということではありません。重要なのは、現在の人事業務の複雑さに、Excelや手作業による管理方法が合わなくなっていないかを確認することです。
本記事では、インドネシアの日系企業向けに、Excel・紙・手作業による人事管理から、人事管理システム(HRIS)への移行を検討すべき5つのサインを解説します。
人事管理システムが必要かどうかは「従業員数」だけでは決まらない
人事管理システムを検討する際、
「50人になったら必要」
「100人を超えたら導入すべき」
といった従業員数を基準に考えることがあります。しかし、実際には従業員数だけでは判断できません。例えば、次の2社を比較してみましょう。
A社
- 従業員50人
- 5拠点
- 複数の勤務シフト
- 残業が多い
- 営業スタッフは直行直帰
- 給与体系が複数ある
B社
- 従業員100人
- 1拠点
- 全員ほぼ同じ勤務時間
- 給与体系もほぼ共通
従業員数だけを見ればB社の方が大きな会社です。しかし、人事・給与業務の複雑さという点では、A社の方がシステム化の必要性が高い可能性があります。つまり、人事管理システムを検討する際に見るべきなのは、「従業員が何人いるか」ではなく、「人事業務がどれだけ複雑になっているか」という点です。では、どのような状態になったらExcelや手作業による人事管理を見直すべきなのでしょうか。代表的な5つのサインを見ていきましょう。
1. 人事関連のExcelファイルが増えすぎている
最初のサインは、人事担当者が管理するExcelファイルの増加です。Excelは柔軟性が高く、人事管理にも便利なツールです。問題は、会社が成長するにつれて管理するファイルが増え続けることです。例えば、
- 従業員情報
- 勤怠
- 残業
- 休暇
- 給与
- 手当
- 経費精算
- BPJS
- PPh21
- 拠点別従業員情報
などを、それぞれ別のExcelで管理しているケースがあります。さらに、
「Attendance_September_Final.xlsx」
「Attendance_September_Final2.xlsx」
「Attendance_September_Updated.xlsx」
のように同じデータの複数バージョンが存在すると、「どれが最新のデータなのか」という問題まで発生します。また、従業員の部署や給与などの情報が変更された際に、従業員マスター、勤怠管理表、給与計算表、BPJS管理表など、複数のファイルをそれぞれ修正している場合、更新漏れや入力ミスが発生する可能性も高くなります。
こんな状態なら要注意
- 同じ従業員情報を複数のExcelへ入力している
- 最新ファイルを探す時間が発生している
- コピー&ペーストが多い
- 担当者によって管理ファイルが異なる
- Excel間で数字が合わないことがある
このような状態になっている場合、ファイルをさらに増やして対応するのではなく、従業員データを一元管理する方法を検討するタイミングかもしれません。
2. 毎月の勤怠集計を手作業で行っている
2つ目のサインは、勤怠データの集計に多くの時間を使っていることです。例えば、指紋認証機(Fingerprint)を利用している企業でも、
指紋認証機からデータを出力 ↓ Excelへ取り込む ↓ 勤務シフトと照合 ↓ 遅刻・早退を確認 ↓ 休暇を確認 ↓ 残業を確認 ↓ 上司へ問い合わせ ↓ データを修正 ↓ 給与計算へ転記
という作業を毎月行っている場合があります。指紋認証機で打刻そのものをデジタル化していても、その後の集計や確認をすべてHRが手作業で行っているのであれば、勤怠管理全体が効率化されているとは言えません。特に、
- シフト勤務
- 残業が多い
- 店舗勤務
- 工場勤務
- 営業の直行直帰
- 複数拠点
などがある企業では、勤怠データの確認作業が複雑になりやすくなります。ここで確認したいのは、HR担当者が勤怠データを「集める・照合する・修正する」ために、毎月どれくらい時間を使っているかです。この作業に多くの時間を使っているのであれば、人事管理の方法を見直すサインの一つです。
3. 複数拠点の人事データを集めるのに時間がかかっている
3つ目のサインは、拠点の増加によるデータ管理の複雑化です。インドネシアでは、
- 本社
- 工場
- 倉庫
- 店舗
- 支店
- プロジェクトサイト
- 営業拠点
など、複数の場所で従業員が勤務する企業も少なくありません。例えば各拠点から毎月、「勤怠Excelを本社へ送ってください」と依頼している場合、本社HRは、
各拠点からデータを回収 ↓ フォーマットを確認 ↓ 不足データを確認 ↓ 担当者へ問い合わせ ↓ データを修正 ↓ 全社データへ統合 ↓ 給与計算へ反映
という作業を行うことになります。拠点が2か所なら対応できても、5か所、10か所と増えていけば業務負担も大きくなります。また、「ジャカルタ本社からスラバヤ拠点の今日の勤怠状況を確認できない」というように、本社側から各拠点の状況をリアルタイムに把握できないケースもあります。複数拠点の人事情報をExcel、メール、チャットなどで集めることが常態化している場合、データを一元管理する仕組みを検討するタイミングと考えられます。
4. 給与明細・休暇残日数など、同じ問い合わせが繰り返される
4つ目のサインは、従業員からHRへの問い合わせです。例えば、
「先月の給与明細をください」
「有給休暇はあと何日ありますか?」
「勤怠記録を確認したいです」
「住所を変更したいです」
といった問い合わせです。一件ずつを見ると、それほど大きな作業には見えないかもしれません。しかし、従業員が100人、300人、500人と増えれば、同じような問い合わせへの対応がHRの大きな業務負担になります。特に給与明細は、従業員が住宅ローンや車両ローンなどの手続きで過去分を必要とすることもあります。そのたびにHR担当者が過去データを探し、個別に送付しているのであれば、より効率的な方法を検討する余地があります。人事管理システムの従業員セルフサービス(Employee Self-Service:ESS)機能などを活用すれば、従業員自身が、
- 給与明細を確認する
- 休暇残日数を確認する
- 休暇を申請する
- 自分の勤怠情報を確認する
- 個人情報を確認・更新する
といった操作を行えるようになります。重要なのは、HRがすべての情報を従業員へ「渡す」のではなく、従業員が必要な情報へ自分でアクセスできる状態をつくることです。
5. 毎月の給与計算に多くの時間を使っている
そして、最も分かりやすいサインの一つが給与計算です。ここで区別しておきたいのが、給与計算サイクル(Payroll Cycle)」と、「給与計算に実際にかかる作業時間(Payroll Processing Time)です。例えば給与を月1回支給しているからといって、給与計算そのものに1か月かかっているわけではありません。確認すべきなのは、「毎月、給与を確定するために人事・経理担当者が実際に何時間・何日作業しているか」です。給与計算前に、
- 各拠点から勤怠を集める
- 指紋認証機のデータをExcelへ取り込む
- 残業を確認する
- 休暇・欠勤を確認する
- シフト変更を確認する
- 上司へ問い合わせる
- Excelを修正する
- 給与計算用ファイルへ転記する
- PPh21・BPJSを確認する
- 計算結果を再確認する
といった作業を毎月繰り返している場合、給与計算そのものよりも、給与計算に必要なデータを準備する作業に時間を使っている可能性があります。これは「従業員が何人いるか」以上に重要な判断材料です。
給与計算に何日かかっていたら見直すべき?
「給与計算に○日以上かかったら、人事管理システムを導入すべき」という、すべての企業に共通する基準はありません。同じ100人の企業でも、1拠点・固定勤務時間・給与体系がシンプルな企業と、複数拠点・複数シフト・残業多数・給与体系が複数の企業では、給与計算の複雑さが大きく異なるためです。そのため、単純な処理日数だけではなく、
- データ収集に何時間かかっているか
- データ照合・修正に何時間かかっているか
- 同じ情報を何回入力しているか
- 給与確定後の修正がどれくらい発生しているか
- 何人の人事・経理担当者担当者が関わっているか
を確認することが重要です。例えば給与計算に5日かかっていて、その大部分が、勤怠収集 → Excel集計 → 不明点確認 → 修正 → 再確認なのであれば、問題は給与計算の計算式ではなく、その前の業務プロセスにある可能性があります。
あなたの会社はまだExcelで大丈夫?チェックリスト
現在の人事管理について、次の項目を確認してみてください。
□ 従業員情報を複数のExcelで管理している
□ 同じデータを複数回入力している
□ 最新のExcelファイルが分からなくなることがある
□ 毎月指紋認証機のデータをExcelへ出力している
□ 勤怠データを給与計算用ファイルへ手入力している
□ 休暇・残業申請を紙、メール、チャットなどで受け付けている
□ 複数拠点から毎月データを回収している
□ 給与計算前のデータ確認に多くの時間がかかる
□ 給与確定後に修正が発生することがある
□ 給与明細をHRが個別に送っている
□ 休暇残日数についてHRへの問い合わせが多い
□ 特定のHR担当者しか給与計算の方法を理解していない
複数の項目に該当する場合、現在の人事管理方法を見直すタイミングかもしれません。ただし、これは「すぐに人事管理システムを導入すべき」という意味ではありません。まずは、
- どの業務に時間がかかっているのか
- どこで二重入力が発生しているのか
- どこでミスや修正が発生しているのか
を確認することが重要です。
Excelから人事管理システムへ移行すると何が変わる?
人事管理システムを導入する目的は、単純にExcelをなくすことではありません。目的は、同じ人事データを何度も収集・入力・確認する業務を減らすことです。例えば、
従業員情報 ↓ 勤怠 ↓ 休暇・残業 ↓ 承認 ↓ 給与計算 ↓ 給与明細
という人事業務を一つの仕組みでつなげることができれば、それぞれの工程で同じ情報を手入力する作業を減らすことができます。また、権限に応じて、
HR:全社の人事データを管理
Manager:自分のチームの勤怠や申請を確認・承認
従業員:自分の勤怠、休暇、給与明細などを確認
という役割分担も可能になります。HRだけに情報と業務が集中する状態から、必要な人が必要な情報へアクセスできる仕組みへ変えていくことができます。
Peoplyee HRIS Insight|見るべきは「従業員数」ではなく「HRが何に時間を使っているか」
人事管理システムの導入を検討する際、「従業員が何人になったら導入すればいいですか?」という質問があります。しかし、Peoplyeeでは、従業員数だけで判断するべきではないと考えています。50人でも、複数拠点・複数シフトで、毎月の勤怠集計や給与計算に多くの時間を使っている企業もあります。一方、100人以上いても、勤務形態や給与体系がシンプルで、現在の方法で効率的に運用できている企業もあります。見るべきなのは、「HR担当者が何に時間を使っているか」です。毎月、
データを集める ↓ Excelへ入力する ↓ 数字を照合する ↓ 間違いを修正する ↓ 同じデータを別のファイルへ入力する
という作業に多くの時間を使っているのであれば、人事管理の仕組みを見直すタイミングかもしれません。本来HRには、給与計算や勤怠管理だけではなく、
- 採用
- オンボーディング
- 人材育成
- 従業員エンゲージメント
- 人事評価
- 組織開発
- 人材定着
など、さまざまな役割があります。人事管理システムの目的は、HRの仕事をなくすことではありません。繰り返し発生する事務作業を減らし、HRがより重要な「人と組織」の仕事に時間を使えるようにすることです。
まとめ|「何人いるか」ではなく「どれだけ手作業が発生しているか」
人事管理システムを検討するタイミングは、従業員数だけでは判断できません。重要なのは、現在の人事業務がどれくらい複雑になり、どれくらい手作業が発生しているかです。特に、
- 人事関連のExcelファイルが増えすぎている
- 勤怠集計を毎月手作業で行っている
- 複数拠点からのデータ集約に時間がかかっている
- 給与明細・休暇などの問い合わせが多い
- 給与計算に多くの時間を使っている
という5つのサインがある場合、現在の人事管理方法を見直すタイミングかもしれません。そして、判断するときに見るべきなのは、「従業員が何人いるか」ではなく、「HRが毎月何に時間を使っているか」です。Excelへの入力、データ収集、照合、修正といった作業に多くの時間を使っているのであれば、人事管理システムによって一元化・効率化できないか検討してみましょう。
Peoplyeeの人事管理システム(Peoplyee HRIS)では、従業員情報、勤怠管理、休暇管理、残業管理、給与計算(Payroll)など、インドネシア企業の人事管理に必要なデータを一つのシステムで管理できます。勤怠データと給与計算データの不一致、毎月の給与計算前の確認作業、Excelによる勤怠集計などに課題を感じている企業は、ぜひPeoplyee HRISの無料デモ・無料トライアルをご活用ください。




