インドネシアで従業員を雇用する企業の人事担当者は、無給休暇(Unpaid Leave)の基本的な考え方と、取得した場合の給与の取り扱いについて理解しておく必要があります。例えば、入社したばかりの従業員の場合、まだ年次有給休暇を取得する権利が発生していないケースがあります。しかし、家族の事情などによって、どうしても仕事を休まなければならないこともあるでしょう。このような場合、会社の就業規則や雇用契約などに基づき、「無給休暇(Unpaid Leave)」として休暇を認めることがあります。無給休暇では、原則として休暇を取得した期間に対応する給与は支給されません。そのため、人事・給与担当者は、無給休暇の申請・承認だけでなく、勤怠データを給与計算(Payroll)へ正確に反映することが重要です。
本記事では、インドネシアにおける無給休暇(Unpaid Leave)の基本的な考え方と、有給休暇との違い、給与計算時の注意点について解説します。
無給休暇(Unpaid Leave)とは?
無給休暇(Unpaid Leave)とは、従業員が会社の承認を得て一定期間仕事を休む一方、その期間に対応する給与が支給されない休暇のことです。インドネシアでは、一定の要件を満たした従業員には年次有給休暇などの権利が認められています。一方、年次有給休暇の対象とならない休暇を従業員が希望した場合、会社が就業規則や雇用契約などに基づいて、無給休暇として認めることがあります。例えば、
- 入社して間もなく年次有給休暇を取得できない
- 年次有給休暇をすでに使い切っている
- 個人的な事情で一定期間仕事を休む必要がある
といったケースが考えられます。ただし、「仕事を休んだ場合はすべて無給」というわけではありません。インドネシアの賃金制度では、労務を提供しなかった場合に原則として賃金を支払わない「No Work, No Pay」という考え方がある一方、一定の理由による欠勤については給与の支払いが必要となる場合があります。したがって、無給休暇として処理する前に、その休暇が法令上給与の支払いを必要とする休暇に該当しないかを確認することが重要です。インドネシアの給与制度については、PP No.36/2021などの関連規則が定められており、その後の改正も確認する必要があります。
有給休暇(Paid Leave)と無給休暇(Unpaid Leave)の違い
有給休暇と無給休暇の大きな違いは、休暇期間中の給与が支給されるかどうかです。有給休暇(Paid Leave)では、従業員が会社を休んでも、対象となる期間について給与が支給されます。一方、無給休暇(Unpaid Leave)では、会社の承認を得て休むことはできますが、その期間に対応する給与は原則として支給されません。また、無給休暇は従業員が自由に取得できる休暇とは限りません。従業員が無給休暇を申請した場合でも、会社は就業規則や雇用契約などに基づいて申請内容を確認し、承認するかどうかを判断します。例えば、長期間の休暇によって業務運営に大きな影響が生じる場合には、会社と従業員の間で取得期間や業務の引き継ぎについて調整する必要があります。そのため、企業はあらかじめ無給休暇の申請条件や承認フローを社内規程で明確にしておくことが重要です。
無給休暇が利用されるケース
無給休暇を取得する理由は、従業員によって異なります。例えば、次のようなケースが考えられます。
- 家族の介護
- 家族の通院への付き添い
- 子どもの学校行事への参加
- 学校・大学などでの手続き
- 個人的な研修や学習
- 長期間の私用
- その他、会社が認めた個人的な事情
ただし、これらはあくまで一般的な例です。欠勤理由によっては、インドネシアの労働関連法令上、給与の支払いが必要となる休暇に該当する可能性があります。したがって、企業は単純に「出勤していないから無給」と判断するのではなく、休暇の理由、関連法令、雇用契約、就業規則などを確認したうえで処理することが重要です。
無給休暇の申請・承認フロー
無給休暇を適切に管理するためには、企業として明確な申請・承認フローを設定しておくことが重要です。一般的には、次のような流れで管理します。
1. 従業員が無給休暇を申請する
従業員が休暇を希望する日程や理由などを会社へ申請します。
2. 上司が申請内容を確認する
直属の上司やマネージャーが、業務への影響や人員配置などを確認します。
3. HRが休暇制度・残日数などを確認する
人事担当者は、有給休暇の残日数や休暇理由、社内規程などを確認し、無給休暇として処理することが適切か確認します。
4. 申請を承認する
会社の承認フローに従って、上司や人事部門が申請を承認します。
5. 勤怠データへ反映する
承認された無給休暇を勤怠データへ登録します。
6. 給与計算(Payroll)へ反映する
無給休暇の日数や時間を給与計算へ反映し、会社の給与計算ルールに基づいて支給額を計算します。このように、無給休暇は単なる休暇申請ではなく、休暇申請 → 承認 → 勤怠管理 → 給与計算までを一連のプロセスとして管理することが重要です。
無給休暇を取得した場合の給与計算
無給休暇を取得した場合、人事・給与担当者は会社の給与規程や適用される法令に基づいて、給与へ反映する必要があります。ここで注意したいのは、すべての企業で一律に「月給÷その月の所定労働日数」で計算するとは限らないという点です。企業によって、給与計算の基準や控除方法が異なる場合があります。そのため、無給休暇による給与控除を行う場合には、自社の就業規則、雇用契約、給与規程および適用される法令に基づいて計算方法を確認する必要があります。以下では、理解しやすくするために、会社が「月額給与をその月の所定労働日数で日割りする」という社内ルールを採用している場合を例として説明します。
無給休暇の給与計算例
Almaさんは入社して間もない新入社員です。家族の事情により、会社の承認を得て2日間の無給休暇(Unpaid Leave)を取得しました。この会社では、無給休暇について「月額給与をその月の所定労働日数で日割りし、無給休暇の日数分を給与へ反映する」という社内ルールを採用しているものとします。その月の条件は次のとおりです。
- 月額基本給:6,000,000ルピア
- 所定労働日数:22日
- 無給休暇:2日
- 給与計算上の勤務対象日数:20日
まず、1日あたりの給与を計算します。6,000,000ルピア ÷ 22日 = 約272,727ルピア。次に、20日分の給与を計算します。272,727ルピア × 20日 = 約5,454,540ルピアまたは、無給休暇2日分を控除する場合は、6,000,000ルピア −(272,727ルピア × 2日)= 約5,454,546ルピアとなります。なお、この計算はあくまで上記の日割り方法を採用している企業を想定した計算例です。実際の給与計算では、自社の給与規程や雇用契約、適用される法令などに基づいて処理する必要があります。
無給休暇を管理する際に人事担当者が注意したい3つのポイント
1. 無給休暇のルールを明確にする
まず、どのような場合に無給休暇を取得できるのかを明確にしておくことが重要です。例えば、
- 申請できる条件
- 最大取得日数
- 申請期限
- 必要な承認者
- 給与への反映方法
などを就業規則や社内規程に定めておくことで、従業員によって運用が異なることを防ぎやすくなります。
2. 法定の有給休暇等と混同しない
特に注意したいのが、欠勤した日をすべて無給休暇として処理しないことです。インドネシアでは、一定の条件を満たす休暇や欠勤について、従業員が勤務していなくても給与の支払いが必要となるケースがあります。そのため、人事担当者は休暇理由を確認したうえで、Paid LeaveなのかUnpaid Leaveなのかを適切に判断する必要があります。
3. 勤怠とPayrollを正確に連携する
無給休暇は給与に直接影響するため、勤怠管理と給与計算の連携が非常に重要です。例えば、従業員が2日間の無給休暇を取得したにもかかわらず、Payrollへ反映されていなければ給与を多く支払ってしまいます。反対に、有給休暇を誤って無給休暇として登録すると、従業員の給与を不当に減額してしまう可能性があります。そのため、休暇申請 → 承認 → 勤怠 → Payrollのデータを正確に連携させることが重要です。
HRISで無給休暇の管理を効率化
無給休暇の管理をExcelや紙で行っている場合、人事担当者は毎月、休暇申請の内容を確認し、勤怠データを集計したうえで給与計算へ反映する必要があります。従業員数が増えるほど、この作業は複雑になります。HRIS(Human Resource Information System)を活用すれば、従業員からの休暇申請、上司による承認、勤怠データ、給与計算を一つのシステムで管理できます。例えば、従業員がUnpaid Leaveを申請→ 上司が承認→ 勤怠データへ反映→ Payrollへ連携という一連のプロセスをデジタル化できます。これにより、人事担当者による二重入力や転記作業を減らし、給与計算のミスを防止しやすくなります。また、有給休暇の残日数などもシステム上で確認できれば、従業員自身も休暇の状況を把握しやすくなります。
まとめ
無給休暇(Unpaid Leave)は、従業員が会社の承認を得て仕事を休む一方、その期間に対応する給与が支給されない休暇です。ただし、従業員が仕事を休んだからといって、すべてのケースで給与を控除できるわけではありません。休暇の理由によっては給与の支払いが必要となる場合があるため、人事担当者は関連する労働法令や就業規則、雇用契約などを確認したうえで適切に判断することが重要です。
また、無給休暇は、申請 → 承認 → 勤怠管理 → 給与計算まで一連のプロセスとして管理する必要があります。HRISを活用してこれらの情報を連携することで、人事担当者の業務負担を削減するとともに、給与計算の正確性を高めることができます。
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